コンパスが存在するために、即興性の強いフラメンコの世界においてカンテ、バイレ、ギター、パルマが一体となって演奏することを可能としています。
コンパスは、言ってみればフラメンコの共通言語なのです。
コンパスを理解していれば、たとえ初対面の奏者同士でも、ある程度合わせることができます。
コンパスは、大きく3拍子系と4拍子系に分類できます。
3拍子系は、ソレアやアレグリアス、ブレリア、グアヒーラなど12拍を一まとまりとする曲です。
また、ファンダンゴ・デ・ウエルバやセビジャーナスもこの系統になります。
4拍子系は、タンゴやルンバ、ティエント、タラント、ガロティンなどといった曲です。
この「12拍を1コンパスとする」考え方は、フラメンコを知る上で欠かせない概念だと思います。
たとえばソレア、アレグリアス、ブレリアなどは3・6・8・10・12もしくは3・7・8・10・12拍目にアクセントがあります。
たいていこのアクセントのある部分からパソ(足のステップ)を踏み始めたり(12から始まることが多いです)、あるいは踊りを止めたり(「抜ける」と表現することもあります。こちらは10で抜けることが多いです)します。
人によってはコントラ・ティエンポ(裏打ち)にアクセントを持ってきたり、アクセントの中にも強弱があるので一概には言えませんが、コンパスが要となっていることは確かです。
コンパスを言葉で説明するのはとても難しく、また初めのうちは音楽を聴いてもどこが1でどこが12なのかなかなかつかめないと思います。
コンパス感覚を磨くためには、なるべくたくさんのフラメンコを観たり聴いたりするほかありません。
数字をカウントしなくても、まずはギターのアクセントや、踊りが始まるところ、止まるところを頼りに、コンパスがぐるぐる回っていることを感じてみてください。